作詞家 漆野淳哉 コラム Vol.089 【アレクサンドリア】
漆野淳哉 コラム Vol.089 【アレクサンドリア】
みなさん、こんにちは。
なんていいますか、毎日、休まずに生きていると、なかなかばかばかしいことも少なくなくて、そんな時は、映画を観たりして、気分転換といいますか、現実逃避をしていますが、そういう時には、今とはまるで別世界の映画を観て、しばし現実を忘れたりしています。
そこで、今日は、『アレクサンドリア』という映画について、僭越ながら、お話をさせていただこうと思います。すいません、また歴史映画です。 4世紀のエジプトの都市アレクサンドリアにヒュパティアという名の美しい女流天文学者、数学者、哲学者がいました。皮肉なことに、彼女はキリスト教徒によって、異端とされ、捕らえられて、裸にされ、生きたままカキの貝殻で体の肉を削ぎ落とされるという、その残虐な殺され方で有名になったのではないかと思います。映画では、カキの貝殻は出てきませんでしたが、彼女の悲運な生涯を描いています。
それにしても、つくづく人間は残酷な生き物だと思います。なんなんですかね。宗教と迷信のせいでしょうか? にしても、イエス・キリストとキリスト教は、まるで別物のような気がします。
当時は、キリスト教が勢いを増し、彼らによって古代のエジプトの神々が愚弄されていた時代。アレクサンドリアといえば、70万もの蔵書を有する世界最古で最大の図書館があった学術都市で、また、奴隷売買とグノーシスのメッカでしたが、グノーシスはキリスト教からは目の敵にされました。余談ですが、グノーシスというのは、ある意味体験的なもので、説明して簡単にわかるというものではないのですが、強いて言うなら、新プラント主義やヘルメス思想のようなもので、頭文字の「G」は、某秘密結社のコンパスと定規を使ったあのシンボルマークにも使われています。
かつて、地動説を唱えようものなら、キリスト教徒に迫害されたように、グノーシスも異端とされ、徹底的に迫害されてきました。
だからこそ、真実であった地動説のように、異端とされたグノーシスに大きな真実が隠されているのではないかと思います。
秘密結社というと、怪しい雰囲気ですが、公にすれば迫害され、虐殺されるという歴史的な背景があったからこそ、秘密結社にならざるをえなかったのではないかと思います。
ちょっと余談となりましたが、映画の中では、グノーシスのことは描かれていませんが、キリスト教に改宗せず、科学に没頭するヒュパティアは、キリスト教徒から、魔女とみなされ、集団リンチに遭います。
70万の蔵書を誇った図書館も破壊され、貴重な書物は燃やされ、自分たちに都合の悪い証拠は隠滅されました。映画の中では、ヒュパティアを慕う奴隷の青年ダオスが、愛するがゆえにヒュパティアを殺めるという設定です。
リンチで殺される前に、その痛みといいますか、苦しみを軽減する意味で、自ら手を下す訳ですが、泣けるシーンです。
以前にも言いましたが、歴史映画には、たいてい奴隷が出てきます。人類の歴史を遡ると、ひょっとしたら、王侯貴族はもちろんですが、平民よりも、奴隷の人口のほうが多かったのではないかと思います。
今でこそ、あからさまな奴隷は激減しましたが、人類の大半は、奴隷だったのではないかと思えるほどです。
昨年、テレビのバラエティ番組で、某大学教授が、「古代ローマの奴隷は、今でいうとサラリーマン」みたいな発言をして話題となりましたが、もしかしたら、古代ローマの奴隷のほうが、今のサラリーマンよりも待遇が良かったかもしれないです。
なんていいますか、何千年経っても、支配者と被支配者の構造は、表向きはともかく、基本的にはまったく変わっていないように思いますが、例の保育園落ちたママさんの発言が多くの人に支持されているのも、そんな構造に気づきはじめた人が増えているからではないかと思います。
支配者の人たちは、もっとうまくやってくれないと、世の中のカラクリがバレちゃうんじゃないかと思いますけど。。おっと、今日は、古代都市アレクサンドリア、ヒュパティア、グノーシスなど、現実逃避の話をしながら、最後は、現実的な話になってしまいました。>< という訳で、長文失礼しました。
こうして好き勝手なことを書かせていただいて、大変ありがたいですが、ほんとは長文を書いているよりも、歌詞を書いているほうが楽しいです。
なんちゃっ亭@
それではまた。
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漆野淳哉 コラム Vol.090 【作詞のヒント6・名詞なんです】
みなさん、こんにちは。
3月8日は、ミツバチの日ですが、みなさんは、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの見分け方をご存知でしょうか? と、ミツバチの話もしたいのですが、しかし今日は、久々に「作詞のヒント」ということで、僭越ながらお話をさせていただきたいと思います。
言葉の品詞には、名詞のほか、動詞、形容詞、副詞、連体詞、助詞などいろいろあるわけですが、 歌詞で一番チカラを発揮するのは、当たり前な感じもしますが、名詞なんです。
基本的に、歌というのは、耳から入ってくる訳ですが、さまざまな言葉を聞いて、すぐにイメージできるのが、名詞です。
たとえば、形容詞や動詞などは、説明的な感じで、わかりにくかったりしますが、名詞は瞬時にそのもの自体をイメージすることができます。
なので、歌詞の中に名詞が多ければ多いほど、イメージしやすいと言いますか、わかりやすい歌詞となります。
いちいち説明しなくても、パッとイメージできて、作品世界に引きずり込まれていきます。絵画や写真にたとえるなら、それだけ色彩が豊富になると言いますか。。。 これは個人的な意見でもありますが、形容詞を多用してある歌詞というのは、なんとなく下手くそな感じがします。
形容詞を使わなくても、名詞でその状況を的確に表現できるのではないかと思います。名詞を意識的に、効
果的に使う、というのが今回のヒントその1です。 ではどんな名詞を使ったらいいでしょう? 少し余談になりますが、たとえば、旅先などで、見知らぬ言葉に遭遇することも少なくありません。
そんな時は、名詞ハンターの血が騒ぐ訳ですが、面白そうな名詞でも、果たして、「カムイミンタラ」を知っている人がどれくらいいるかと考えると、誰も知らないような名詞は、使わないほうが無難です。
むしろ、誰もが知っている名詞を使うべきですが、これだけ世の中に歌が出回っていると、散々使い古されている名詞よりも、そうでない名詞を使うようにしたいと思っています。
特に、普段、会話などでよく使っているのに、歌詞では、あまり使われていない、あるいは、あまり使われそうにない名詞を使うと、効果的なのではないかと思います。これが今日のヒントその2です。
あまりいい例ではないかもしれませんが、僭越ながら、私がかつて使った名詞に、「猫パンチ とか、「錦糸町 とか、およそ歌詞らしくないものや、あと、造語ですが、「笑顔ビーム などがあります。わかりやすい造語も歓迎です。
話は変わりますが、今年になってから、アンビリ星人が増えているような気がしますが、気のせいでしょうか? アンビリ星人をググっても、出てこないのは、私の造語だからですが、察しの言い方でしたら、意味はなんとなくお分かりいただけるのではないかと思います。
わかりやすく言ってしまうと、場違いな、と言いますか、まるで空気読めず、何か大きな勘違いをしている人という感じでしょうか。まったく困ったものですが(><)、それは置いといて、この造語は、上記の笑顔ビームほど、わかりやすくないので、やっぱり、こういうのは、使わないほうが無難ですね。(^_^;) 上記の「カムイミンタラ」は、多くの人が知らないような例として挙げましたが、これはちょっと極端な例で、まだあまり知られていない単語でも、そのうちブレイクしそうな名詞を使うというのもいいと思います。
要するに、作り手として、リスナーの一歩先を行くという発想です。これが今日のヒント3です。そういう意味では、知らない単語をどんどん吸収して、名詞ハンターになるのもいいかと思います。
作詞をするのが好きな人にとっては、新しい名詞をせっせと集めるのも、楽しいのではないかと思います。
という訳で、今日は、「作詞のヒント」ということで、名詞について、僭越ながら、 お話をさせていただきました。
それでは、今日はこのへんで。