作曲家= 編曲家 の時代   「メロディは作れるのですが、アレンジが出来ません」という問い合わせが 良くあります。 一昔前なら、メロディのセンスがあるけど、アレンジが苦手という事も考えられました。 ところが、既に世の中には、メロディが氾濫しています。   1オクターブ12の音階の組み合わせで出来るメロディと言うものにも限界があります。 全く新しいメロディというものは存在しないのではないでしょうか。 なので、楽曲が何処か似てしまったりするのも当然の事だと思います。 そんな中で楽曲を差別化するには、音作りを含めたアレンジやヴォーカルにあると思います。 作曲家としては、音作りを含めたアレンジで提案をしていくのが当然の事だと思います。 今や、作曲家 =(イコール) 編曲家 の時代と言えます。 更に、音作りまで考えると、マニピュレータ、エンジニアまでが作曲の領域になりつつあります。   既に、メロディが作れれるだけで作曲家という時代は終わったのかも知れません。    

—————————————————

仮歌は難しい?   仮歌というのは意外と難しいものです。   その理由としては、やはり見本がないということ。   例えば、カラオケなどで規制曲を上手に歌える人は意外と たくさんいます。   それは、プロの歌手が見本となっているからです。   全く新しいメロディを上手に歌えるという事は、相当な 歌唱力を必要とします。   これまでいろんな歌を歌ってきて、どういうメロディでも 自分で対応して、こなせるということになります。   極論を言うと、仮歌を歌えてこそ、プロと言えるのかも知れませんね。 ————————————————————

鳥海剛史 コラム 【第一回】 シンセメロの話   はじめまして。 

作曲家/編曲家の鳥海剛史です。 今回のコラムは私が担当をさせて頂きます。

T&Eの熊谷社長とはもうかれこれ長いお付き合いをさせて頂いておりまして、 今後、この連載コラムのどこかでもなれそめなど書いてみたいと思っております。

  僕にしか書けないような連載コラム、、、 そう考えていった所、普通の作曲家さんがあまり書かないようなテーマを設けて行こうかと思っております。  

初回テーマ【シンセメロの話】をしたいと思います。  

この楽曲コンペに仮歌を入れるのが常識の時代に、 あえてシンセメロの話です(笑)

コンペというと、やはり仮歌必須、仮歌至上主義な所がありますが、 意外にもあえてシンセメロで聞かせて下さいと言われるコンペもあったり、 レコード会社の担当ディレクターと直でやり取りする場合もシンセメロでお願いしますという場合が結構あったりします。

ここ数日も、某コンペでシンセメロで、、と発注がありました。

皆さんはシンセメロと言われて、何の音色で提出しますかね?? 僕は色んな作曲家さんに何の音でシンセメロで出してますかと聞いた事があります。

他にもディレクターさんに、「何のメロが一番わかりやすいですかね?」と質問したりもしました。

ちなみに私が駆け出しの頃、avexの楽曲オーディションで受かった時に、作家として育成されてた時があるのですが、 avexのアーティストアカデミーの先生の答えとしては、、 フルート、アルトサックス、クラリネット、、 などの木管系のリード音がベストだと言ってました。  

しかし個人的にはこの答えは模範回答のような気がしてなりませんでした。

だって言われた音色でシンセメロデータ作ると、 その辺のスーパーのBGM臭がしてくるんですもの。。

そして現場の声はどうなんだと疑問に思いました。

現場は常に変化してますからね!

そこで色々作家さんや、ディレクターの人々に意見を聞いた結果、一番多かったのが、 GM音源で言う所の 81番 SQUARE LEAD 82番 SAW LEAD 88番 BASS LEAD この辺の柔らかいリード音色が一番多かったです。

しかしやっぱりスーパーBGM臭、着メロ臭がする。。

ちなみに現場の声で2番目に多かったのが、、、 ピアノメロです。

  僕も何を隠そうシンセメロ=ピアノメロ派なのです。

僕は何か言われない限りは、シンセメロと言われればピアノメロでメロは鳴らすようにしております。

ただし、ピアノメロと言っても、いかに他の作家さんのシンセメロと差別化を捗れるかという所に、色々と工夫を施しております。

まずメロディートラックを3トラック立ち上げて、 トラック1 Vol 100 ピアノメロディー (ベロシティ 80前後) トラック2 Vol 80 1オクターブ上のピアノメロディー (ベロシティ 80前後) トラック3 Vol 70(調整必要) ハモのピアノメロディー (ベロシティ 80前後) こんな感じでピアノメロを鳴らしております。

メインのピアノメロにちょっと小さい1オクターブ上のピアノメロを足し、 さらにハモもピアノメロで鳴らすと、とても存在感溢れる人とは違ったピアノメロになります。

さらにさらにサビなど印象的なセクションにも1オクターブ上のベルやブライトネス系の音を足しても良いでしょう。

そしてピアノの音色を同時にオクターブでベロシティ全快で鳴らすと割れますので、 その為に3本のトラックのベロシティは抑えめにしておきましょう。

ただしあまり音色を重ねたり、やり過ぎるとそういうインストの作品になってしまいますでご注意を!

このピアノメロのセッティングがあるのか、私の曲が良いのかわかりませんが(笑 シンセメロ指定ではないコンペでも、ピアノメロで何十曲と採用され世に出ております。

実は今回のコラムのタイトルは最初「ピアノメロの話」にする予定でしたが、 じゃあもうちょっと掘り下げてみようと思い、シンセメロの話とさせて頂きました。  

書いていたらかなり長くなってしまいましたが、、、(汗)

こんな感じで個人的なTipsなど、他の人が掘り下げないテーマを書いて行きたいと考えております。

どうぞ宜しくお願い致します!

鳥海剛史