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須田悦弘コラム ボイシングのヒント、の前に。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんにちは、須田悦弘です。

ちょっとボイシングの話を休憩させていただきます。 実は、去年からクラシックピアノを習い始めています。

というのも、私はエレクトーンを習っておりましたがピアノはど素人です。 フォーム、鍵盤を弾く力などを根本から鍛え直そうと思い決心しました。 先生は、T&Eコーポレーションの作曲家であると同時に、 ジャズピアニストの川本先生にご紹介いただきました。 なぜこんな話をするかといいますと、先生の口を突いて、 しばしば、ここでご紹介したい言葉が出るからです。

例えば先日は、サスティンペダル踏み替えのタイミングについて話されている時に、 「作曲家さんでしたら、当然、倍音学はご存知でしょうが」と切り出されました。 私の説明でおおよそご納得いただけたので、その後の話はスンナリ進んだのですが。 ベース音をフォルテッシモで弾いた後、残響音に含まれる倍音に乗せていくイメージで、 音を「落として」いくと、綺麗に響くよ、というお話でございました。

作曲家さんでしたら是非、音源やエフェクターを買い集めたり、ボカロを鍛えたり、 パソコンのスペックをアップしたりする前に、倍音含む理論をお勉強してください。 本当に、理論をしらなくてまかり通っているのは、ごく狭い世界だけだと、 ここのコラムでも繰り返し書いておりますように、ずっと感じております。 譜面が読めない作曲家、理論が分からない作曲家って、冗談にもなりません。 日本語が出来ない作詞家、みたいなもんでしょうか。 これは嫌味ではなくて、同志としてのアドバイスです。 万が一コンペに通って、アレンジまで担当することになったら、思い知ることになります。 メロディーだけなら勢いで出来る場合も無きにしも非ず、ですが、 アレンジだけは、しっかりとした知識が無いと、絶対に無理です。

一見、よさそうに聴こえるものが出来たとしても、聴く人が聞いたらバレます。 その前に、ギターなどの生楽器を入れる場合には、その場でプレイヤーさんにバレます。 そして制作陣全員に、途方もない迷惑をかけることになります。 プロの世界は大人ですから、学校の先生のように注意してくれることもないので、 迷惑をかけているのに気づかないのは自分だけ、なんていう恥ずかしい状況になります。

これは将来、自分が腕を上げたとき、二度と聴きたくないような出来になるってことです。 寂しいじゃないですか、せっかくの快挙の成果を聴きたくなくなるなんて。 では、今回はこのへんで!次回はボイシングの続きを書きます。